2004年10月30日

サッカークラブは誰のもの?

『サッカークラブは誰のものなのか?』という議論はイングランドでも新しいものではなく、経営問題が起こるごとにわき上がる議論である。特にプレミアリーグのクラブが株式を上場したり、マンチェスター・ユナイテッドが買収されるという噂が起こるとこうした議論が登場する。

イングランドでは元来クラブは地域のコミュニティのものであり、オーナーもその地域のお金持ちであったり、企業であったりしていた。もともと労働者階級のスポーツであったサッカーが近年のテレビマネー等のバブル現象によりチケットの値段が高騰し、労働者階級の人々がサッカーを観戦しづらくなっていることは事実のようである。こういった現象を「フットボールが盗まれた」と表現している文献も少なくない。

私の意見では、サッカーは誰のものでもない。皆のものである。様々な利害関係者が各々“おらがクラブ”と思って、愛し支えている。日本のサッカーチームは元来企業スポーツであったが、今の状態はイングランドに近づきつつあると思う。ただ、数多く存在する利害関係者の中で最重要視しなければならないのは、お金を払ってチケットを買ってくれるサポーターである。スポンサー会社ももちろん重要ではあるが、サポーターが集まるからこそのスポンサーシップである。クラブを経営していく上でここを見逃してはならない。

私は選手時代、クラブというものは選手ありきであると考えていた。サポーターやクラブ運営スタッフなど多くの人々の存在やサポートの重要性は十分に理解していたが、本音を隠さずに言えば、“俺たちがクラブの中心”くらいに考えていた。しかし、選手を引退し、クラブスタッフとして働き始め、クラブを取り巻く様々な人々と話をするようになると、各々の人々がそれぞれの立場で多かれ少なかれ”自分のクラブ”という認識をしていることを実感した。

今ここでクラブは誰のものかと尋ねられたら、間違いなくサポーターのものであると私は答える。他の誰のものでもない。こう考えると、どこを向いてクラブの運営を考えていかなければならないかが自ずと明らかになる。

どうして今日このような話を書きたくなったのだろうか? 自分でもはっきりわからない。