ニシノコラム - Vol. 01
リヴァプール大学マネジメントスクール、MBA・フットボール・インダストリーズ・コース。これが、現在私が勉強しているコースである。コラム初回ということで、今回は自分がどうしてこの大学を選んだのか、何を勉強しているのかをお話ししたいと思う。
私は大学時代に経営学部会計学科で勉強しており、プロサッカー選手になっていなければおそらく公認会計士を目指して勉強していただろうと思う。しかし、Jリーグ開幕とともに浦和レッズへ入団した。
サッカー選手を引退する際に、現場の指導者かフロント関係者かの二者択一で今後の進路選択を迫られ、迷わずフロント関係(クラブ経営)への道を選んだ。経営学に興味があったことと、今後の日本のサッカー界を考えると、プロ選手経験者でクラブ経営に携わる人間がいても悪くないと思ったこと。この2つが主な理由である。
レッズのフロントで実務をこなしながら学ぶのももちろん素晴らしい経験だが、大学を卒業してすぐにサッカー選手になり、10年間サッカーだけをやってきた自分にはあまりにも自分の知っている世界が狭すぎるという自覚があった。世間を、社会を、そして世界を知らない。
海外で本格的な勉強がしたい。ずっとそう考えていた。
選手を引退してレッズのフロントの人間として働く時に、「海外留学がしたい」と訴えたが、もちろん無理だった。その当時は、まだどこで何を何のために勉強したいのかが自分の中で固まっていなかったのだから仕方がない。その頃から、徹底的にいろんなことを調べ始めた。スポーツマネジメント関連の本を読みあさり、大学の公開講座があれば出席し、何か話が聞けると耳にすれば、どこへでも出掛けて行った。
そうした過程で、イングランドにはフットボールを主なテーマとして学べる大学、大学院が幾つかあることを知った。その中でも、リヴァプール大学の場合は大学院であるマネジメントスクール内のコースであるという点、つまりMBAであることが最大の魅力だった。ここでなら日本の大学で学んだ経営学の基礎を生かしつつ、クラブ経営やフットボール産業について勉強することができると考え、入学を決めた。
実際、授業が始まってみて、非常に多くの国から学生が来ていることに驚くと同時に嬉しく思う。現在コースに在籍する35人の学生中、イギリス人はおそらく半分もいないだろう。ヨーロッパ本土からの学生が大多数を占めており、それに加えてアメリカ人が3人、アジアからは中国人4人、韓国人2人、日本人が自分を含めて2人といった具合である。それにしても、南米とアフリカからの学生がいないのが非常に残念だ。
このコースは、経営学そのものを学ぶコアコースの3教科とフットボール産業に特化した4教科から構成されており、これらと併せて卒業論文が課される。また、オプションでフットボールクラブやスポーツマーケティング会社で短期研修を在学中に行うこともできる。
とはいえ、この短期研修のネックは全て自分でセッティングしなければならないという点である。自らコンタクトを取り、短期研修の趣旨を受け入れ先のクラブや企業に説明し、納得してもらわなければならない。卒業生によれば、受け入れ先を見つけることは非常に難しく、おまけにマネジメントスクールからのサポートも期待できないらしいが、滅多にないチャンスなのでチャレンジしようと思っている。
それでは卒業後、どうするのか。このコースを修了したからといって、サッカー業界でいい就職先が見つかるという保証があるわけではない。それはどこの国でも同じであろう。日本も例外ではない。特にEU圏外の人間がイギリスで就職することは、それこそ至難の業である。全ては自分次第である。当然、今後のヴィジョンは持っているが、これについてはまた別の機会に触れたいと思う。
まだリヴァプールへ来て3ヶ月しか経っていないが、いろんな意味で来て良かったと思う。勉強は質的にも量的にもかなりのものを要求されるが、自分のやりたい勉強である。眠気と闘わなければならないこと以外は、それほど苦にはならない。
はたして一年後に自分は何を得、どんな自分になっているのだろうか。