MAN IN BLACK - Vol. 1

初めまして

11月23日のリヴァプール・シニアカップ一回戦にて副審ふたりとこの度、コラムコーナーに寄稿させていただくことになりました、山内宏志と申します。私は現在、リヴァプール・ジョン・ムーアズ大学大学院スポーツ・運動科学学科にて、博士号取得に向けスポーツ生理学の研究活動を行っています。研究のメインテーマは、サッカーレフェリーを対象とした体力測定評価、フィジカルトレーニングです。

また、研究と並行して、私自身もレフェリーとして活動を行っています。留学以前は、日本サッカー協会2級審判員として、Jサテライトリーグ主審、日本フットボールリーグ(JFL)副審を始め、各全国大会の審判員を担当していました。渡英後の昨シーズンは、リヴァプールとその近郊にて、サプライ(地域)リーグの主審、エヴァトンFCにてプレミアアカデミーリーグ(16歳以下)などを担当していました。今シーズンからはイングランドサッカー協会レベル3・ナショナルリスト審判に昇格し、フットボールカンファレンスの第4審判、 ノーザンプレミアリーグ、またFAカップ一回戦の主審を担当しています。

イングランドの国内リーグは、プレミアリーグを頂点として、フットボールリーグ(3部制)までがプロリーグ、フットボールカンファレンスはプロ、セミプロチームの混在リーグ、その下には各地域にセミプロリーグ存在しています。私が主に活動を行っているのは、このセミプロリーグの中の一つで北部地域の代表的なリーグであるノーザンプレミアリーグです。スポンサー名から、ユニボンドリーグという名前で知られているこのリーグでは、毎試合平均200-300人程度の観客が地元チームの観戦に詰め掛けます。そのすべての登録クラブは、スタンド、照明設備も備わったホームグラウンドを所有しており、プロリーグほどではないものの、施設はそれなりに整っています。サッカー専用のグラウンドで、観客席とピッチが手が届くほどの距離、しかも地元のサポーターが熱狂的なこともあり、レフェリーとしても会場の一体感を楽しむことができます。

FAカップ史上初の日本人主審となった今シーズンの一回戦チーム戦術においては、多国籍化されてきたプロリーグと比べて、徹底したダイレクトプレーを展開する、より純粋なイングランドフットボールを見ることができます。ディフェンスラインから前線へのロングボールを多用するサッカーは、長い距離を走ってポジションを修正する必要が出てくるので、レフェリーには必然的にかなりの運動量が求められます。選手に関しては、日本の一般的な選手と比較して、フィジカルコンタクトの強さ、スライディングを含めたタックルの技術などの点で大きな差を感じます。もちろんプロレベルになれば、さらにスピードが速く、プレイの精度も高くなり、レフェリーもそれに対応した動きの質・量と素早い判断が必要になります。あと数年の滞在期間中に、そのプロリーグのピッチに一審判員として立つことが今後の目標です。

このコラム内では、私の審判活動のみならず、イングランドのレフェリングスタイル、審判員制度や組織体系などもご紹介していければと考えています。また、国内リーグでのレフェリーに関連した事例についても、折を見て触れていきたいと思います。さらに、私が関わる研究プロジェクトや、サッカー関係の生理学的研究で興味深い報告などがあれば、ご参考までに付け加えていく予定です。

最後に、当コラムをご覧いただく中で、ご意見・ご感想があれば、ぜひこちらまでお寄せください。ご質問に関しましても、時間の許す限りお答えしていくつもりです。それでは、コラム『MAN IN BLACK』を今後ともよろしくお願いいたします。


山内 宏志(やまうち ひろし)山内 宏志(やまうち ひろし)

1979年1月20日生まれ、愛媛県出身。東京学芸大学院教育学研究科卒業後、渡英。

現在、日本人初のFAナショナルリスト審判員として活動中。平行して、リヴァプール・ジョン・ムーアズ大学大学院スポーツ・運動科学学科で博士号取得に向けてスポーツ生理学を研究中。

日本サッカー協会2級審判員、FAレベル3・ナショナル
リスト審判ライセンス保持。

連絡先: man_in_black@hotmail.co.uk