蹴るメディア - Vol.2

『The Fifa 100』
Pele (著), Kofi Allen (著), William Klein (著)

サッカー選手は写真家にとってどういう被写体なんだろう。いつもなら思いつきもしないことに思いを馳せてしまったのは、やはりこの本の力なんだろう。FIFAが100周年を記念して出した写真集は、18人の著名写真家が、どうやら「好みの選手」を指名して撮ったらしい、という豪華な設定。だから取り方のシチュエーションはまさにさまざま。スケジュールの都合なのか、写真家のこだわりなのか、どちらなのかを知りたいところだが、選手一人しか撮影していない人もいれば、二桁におよぶ選手を作品に仕上げた人もいる。だから選手の中には、ちょっと前と、ずいぶん前まで現役だった人も含まれている。

で、肝心の写真はと言うと、これが実にいい表情。確かに何かを成し遂げた人、極めている人は独特の冴えてる表情を持っているものだが、なんというか「いい」んだな、これが。この人、こんな顔持ってたんだ、彼ってもしかしてこういう性格? などと思わず独り言がもれてしまう。そして、写真家の好みも如実に現れているから面白い。それは写真家がピッチ上のパフォーマンスを通して選手に感じた「何か」を、写真という二次元に移し替えたと言ったらいいだろうか。疑問に思うなら、同じ選手を違う写真家が撮っているから、じっくりと見比べて欲しい。どきっとしてしまうにちがいないからだ。それにしても、残念ながら女性はミア・ハム 一人だし、東洋人は中田英寿一人。このあたりにも女性サッカーやアジアサッカーがまだまだ発展途上だという事実が横たわっていてちょっと悲しかったりもする。

で、最後にあなたに問いかけたい。一番多く登場している選手は誰でしょうか?答えを知ったとき、きっと写真家は、彼の経歴や栄光のみならず、人間性に惹かれたに違いないと、あなたも同感するのでしょうか。

The Fifa 100


うまごえ 尚子(うまごえ なおこ)うまごえ 尚子

鹿児島県出身。

コピーライター、雑誌編集者を経て、2004年に渡英。2005年12月にリヴァプール大学院 Football Industries MBAを修了。2006年末に帰国。現在、清水エスパルス広報勤務。


サッカー文化普及のためだけでなく、編集者としても活動。The Golden Eggsの英語本(宝島社)、「ひとりセラピー」(カンゼン社)などの構成、編集、執筆にもかかわる。
鹿児島のリージョナル誌LEAPにサッカーコラムを連載中。

連絡先: vivanaoko@hotmail.com