蹴るメディア - Vol.3

『100Momentos inolvidables, en la vida del Real Madrid』
Real Madrid (出版元)

写真の力は絶対だと、いつのまにか信じていなかっただろうか? そんな疑問を提示してくれたのは、レアルマドリッドフットボールクラブのショップで出会った「100Momentos inolvidables, en la vida del Real Madrid」という本だった。

いや、正確には、ポスター集と呼ぶべきだろう。最初に目に飛び込んでくるのは、1919年10月12日のR.S.Gimnastica Espanola戦のポスター。クリーム地に、くすんだ赤の文字だけが並ぶデザイン。いや、違う、きっとこれは時が変えてしまった色合いなのだろうと気づいたとき、時間の長さに絶句してしまうのは、わたしだけではないはずだ。文字だけで、あるいはピッチ上の選手を描いたイラストで構成されたポスターは、不思議と強く語りかける力を持っている。髪型が、服が、スタジアムが、観客が、違う。けれどそこには、サッカーという普遍の情熱が満ちている。ページをめくるたびにワクワクしてくるのは、それだけこれらのポスターに力があるからなのだろう。

素材として写真が登場するのは意外と遅くて1987年。それからはしばらく写真を使ったポスターが続くのだが、なぜかあまり迫力が伝わって来ないと感じるのは思い込みだろうか? それにしても、歴史というものは底知れない。遥かな昔から、マドリードの人々はサッカーに酔いしれていたのだ。酔いしれることの出来る環境が、歴史があったのだ。そこに嫉妬してしまうのは、サッカー馬鹿なら、うなづいてしまう事実なのではないだろうか。


うまごえ 尚子(うまごえ なおこ)うまごえ 尚子

鹿児島県出身。

コピーライター、雑誌編集者を経て、2004年に渡英。2005年12月にリヴァプール大学院 Football Industries MBAを修了。2006年末に帰国。現在、清水エスパルス広報勤務。


サッカー文化普及のためだけでなく、編集者としても活動。The Golden Eggsの英語本(宝島社)、「ひとりセラピー」(カンゼン社)などの構成、編集、執筆にもかかわる。
鹿児島のリージョナル誌LEAPにサッカーコラムを連載中。

連絡先: vivanaoko@hotmail.com